恋の宝石ずっと輝かせて
 体育の授業が終わって、更衣室に戻ったときだった。

 ユキのシャツに切込みが入っていた。後ろ側を縦にまっすぐ切られている。

 呆然とする中、人に見られたくなくて、慌ててそのシャツを着てはブレザーを羽織った。

 少し背中がスースーする。

 それは心にまで吹きすさんで寒いくらいだ。

 朝のカッターナイフといい、このシャツの背中の切り込みは、同一犯人に違いない。
 そしてあの手紙も。

 以前よりやり方が具体化しエスカレートしている。

 気に入らないと思う誰かが、いい気になるなとユキに知らしめている。

 ユキは誰にも言えず、一人で抱え込んでいた。

「春日さん、今日やっぱり変よ。大丈夫?」

 ミカはユキを気遣ってくれる。
 一人でも友達になってくれるのなら、ユキは有難いと思っていた。

「ありがとう、五十嵐さん。大丈夫よ」

 にっこりと笑顔で返した。

 その向こうで、ヨウコとカナが憎しみをぶつけるようにユキを睨んでいた。

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