恋の宝石ずっと輝かせて
第五章 過去の出来事

  二階の教室の窓から外を眺めれば、人の動く姿が良く見える。

  ユキは時計を気にしながら、外を眺めていた。登校してくる生徒が増えるにつれ、トイラももうすぐ現れるとドキドキしながら待っていた。

「あっ、来た」

 トイラとキースが一緒にいると、遠くからでも良く目立つ。

 ふたりを目で追っていると、後ろからミカが駆け寄ってくるのが見えた。

 ミカがトイラの腕をとって自分に絡ませている。

 トイラはされるがままで、跳ね除けるそぶりもしなかった。

 あの位置にはいつも自分がいたのに、一抹の寂しさがこみ上げる。

 ユキは見ていられなくなって、窓から遠ざかり自分の席についた。

 もうすぐトイラが教室に入ってくる。それまでにユキは落ち着いていたかった。

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