恋の宝石ずっと輝かせて
2
すでに二人の仲は拗れてしまい、険悪なムードがずっと続いていた。
席が隣同士で、こんなにも近くにいるのに、気軽に声を掛けることもできずただ息苦しい。
授業が全て終わった放課後、ユキは席を立ち上がり、トイラとキースに何も言わず教室を飛ぶように出て行く。
キースが引きとめようと名前を呼ぶが、ユキは振り向かずに行ってしまった。
「トイラ、他にもっとやり方があるだろう」
キースの不満はトイラに向いた。
トイラは視点をずらした虚ろな目をして、魂を抜かれたようにじっとしていた。
またミカがトイラの前に現れた。
覚えたてのたどたどしい英語を、得意げに試している。
トイラは聞いてもいなかった。
ユキが側に居ないその時、トイラはミカに我慢する理由はなかった。
ひたすらミカを無視していた。
マリはそんなトイラとミカを尻目に鞄に教科書を入れていた。
何かがしっくり来ないと思っていたとき、近くで女子の話し声が耳に入ってきた。
「急に、五十嵐さんたらトイラと親しくなっちゃって」
「でも春日さんにはいい気味よね。五十嵐さんにポジションとられて、きっと悔しがってるわ。あの人、クラスの皆の悪口を英語でトイラとキースに言ってたみたいだって、五十嵐さんが教えてくれたけど、やはりああいう女は男は嫌いなのよ。ざまーみろっていう感じだわ」
それは先日、露骨にユキを無視した山口ヨウコと佐藤カナだった。
マリは腑に落ちなかった。
ユキのことは気にいらなくても、彼女が影で悪口を言うようなタイプには見えなかった。
それよりもミカの狡猾さが鼻についた。
ユキがトイラやキースと突然距離を保ち出したのも、ミカが一枚噛んでいると鋭い目つきで見ていた。
すでに二人の仲は拗れてしまい、険悪なムードがずっと続いていた。
席が隣同士で、こんなにも近くにいるのに、気軽に声を掛けることもできずただ息苦しい。
授業が全て終わった放課後、ユキは席を立ち上がり、トイラとキースに何も言わず教室を飛ぶように出て行く。
キースが引きとめようと名前を呼ぶが、ユキは振り向かずに行ってしまった。
「トイラ、他にもっとやり方があるだろう」
キースの不満はトイラに向いた。
トイラは視点をずらした虚ろな目をして、魂を抜かれたようにじっとしていた。
またミカがトイラの前に現れた。
覚えたてのたどたどしい英語を、得意げに試している。
トイラは聞いてもいなかった。
ユキが側に居ないその時、トイラはミカに我慢する理由はなかった。
ひたすらミカを無視していた。
マリはそんなトイラとミカを尻目に鞄に教科書を入れていた。
何かがしっくり来ないと思っていたとき、近くで女子の話し声が耳に入ってきた。
「急に、五十嵐さんたらトイラと親しくなっちゃって」
「でも春日さんにはいい気味よね。五十嵐さんにポジションとられて、きっと悔しがってるわ。あの人、クラスの皆の悪口を英語でトイラとキースに言ってたみたいだって、五十嵐さんが教えてくれたけど、やはりああいう女は男は嫌いなのよ。ざまーみろっていう感じだわ」
それは先日、露骨にユキを無視した山口ヨウコと佐藤カナだった。
マリは腑に落ちなかった。
ユキのことは気にいらなくても、彼女が影で悪口を言うようなタイプには見えなかった。
それよりもミカの狡猾さが鼻についた。
ユキがトイラやキースと突然距離を保ち出したのも、ミカが一枚噛んでいると鋭い目つきで見ていた。