恋の宝石ずっと輝かせて
「えっと、次どっちだっけ。あっ、わかんなくなっちゃった。ちょっとここで待ってて貰えますか。確認してきます」

 ジークは道に迷って慌てていた。

「おい、ジーク、頼むよ」

 トイラがしっかりしてくれよというように嘆いた。

 三人はその場に暫く置き去りにされた。

 キースはどこか震えていた。

「どうした、キース、お前らしくもないぜ」

「ここはすごい『気』を感じるんだ。とてつもなく大きな力。匂いがここだけ異質で辛辣なんだ。やばいよ、トイラ。これは僕達には手に負えない。逃げた方がいい」

「何を言ってるんだ、今更。だからこそ俺達は来たんじゃないか。そういう力があってこそ、森の守り主に相応しい場所なんだよ」


 ユキはその時、空間で浮き上がる緑の光を一瞬みたような気がした。

 前も後ろも、右も左もわからない暗闇の中、ユキの体は独りでに光に向かって歩き出した。

 足が何かで躓いてあっと思ったとき、突然抱えられて体がふわりと浮いた。

「キャー」

「どうしたユキ!」

 トイラが叫んだ。

 その時、暗闇だった空間に、赤黒い光がぼわーっと広がった。

 目の前に大きな白い大蛇が現れ、緑の目を光らせてトイラとキースを睨んでいた。
 
ユキは大蛇の尻尾に絡められ、宙に浮いていた――。


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