恋の宝石ずっと輝かせて
 ユキはため息を何度もついていた。

 悲しみのこもった部屋の空気を入れ替えようと、庭に面している縁側の吐き出し窓を引いた。

 暫く夕暮れ時の空を見ていたが、ため息が止まらない。

 ユキは暫く気力がなく何もする気になれなかった。

 縁側に座って足をばたつかせる。

 キースが言っていた『自分で答えを見つけろ』という意味がわからない。

 縁側に座っていると、夕暮れ時の一日の終わりが切なく感じる。

 いつまでも座っているわけにはいかない。

 夕食の準備をしなければならなかった。

 立ち上がろうとしたその時、自分の名前が呼ばれたような気がした。

 それと同時に胸が痛み出し苦しくなる。

 胸を押さえ込みユキは顔をしかめていた。

 息苦しい。

 体を屈めていたとき、足元に人の影が落ちていた。

 喘ぎながら顔をあげれば、男が立っている。

 黒いワードローブをまとい、フードをすっぽりと被っていた。
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