恋の宝石ずっと輝かせて
 その頃トイラは、近所の鳥居のある神社に居た。神秘的な空間。そこが一番自分の森に近い気がしていた。

 人の目を避け、裏手の木の麓に腰掛け目を瞑る。

 ユキに出会ってから、トイラは沢山の感情を抱いたことに気づく。

 愛、心の安らぎ、楽しさ、幸せ、温かい満たされた気持ち。

 それと同時に、恐れ、嫉妬、苦しさ、情けなさ、虚無感

 誰かを好きになるということは、これほどに感情が渦巻く。

 ユキと出会った事は後悔してない。

 出会えたからこそ、色々なことをユキから学んだ。

 だったら、この苦しみも喜んで受けてたとう。

 それもユキを愛するが上、必要といわれるならば。

 やっとそこまで結論付けたとき、誰かの気配を感じた。

「おい、邪魔をしないでくれ」

 トイラが目を開ければ、目の前にキースが立っていた。

「何を邪魔するってんだよ。僕が迎えに来なければ帰りにくいくせに」

「もう大丈夫さ」

 トイラは立ち上がった。

「よくいうよ。あれだけ派手に逃げといて」

 キースの言葉にトイラは「コホン」と咳払いする。
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