恋の宝石ずっと輝かせて

 ダイニングテーブルを囲み、三人は朝食を取っていた。

 ユキはにこやかにトイラに微笑みかけると、トイラもてれくさく笑っている。

 それを側でコーヒーカップを手にしてキースがクスクスと笑っていた。

「なんだか僕も嬉しくなるよ」

 キースが言った。

「これでやっと謎が解けたわ。だけど、どうして説明してくれなかったのよ」

 ユキがちょっとすねた。

「説明したところで、ユキはきっと信じてくれなかったと思う。あまりにも人間の世界では非現実的な話だから」

 トイラが言った。

「そうだね、僕たちが狼や黒豹だって言って、その姿を見せたらきっとびっくりして恐怖におののいてただろうね」

 キースはパンをパクッとかじる。

「でも記憶が戻ってよかった。これでまたトイラたちと楽しく過ごせる」

 ユキは素直に喜んでいたが、トイラとキースは暗い面持ちになった。

「それがそう喜んでもいられないんだ。君は今……危ない状態だ」

 キースは言いにくそうにしていた。

「だけど、あのときジークに撃たれたけど、私ちゃんと今生きてるわ」

「ユキ、しっかり聞いてくれ、君の今の命は、仮の状態だ」

 トイラが手に持っていたフォークを置いて、辛そうに話し出した。

「仮の状態?」

「あの時、ユキは死の淵にいた。だが、森の守り主が、自分の命をユキに吹き込んだんだ」

「えっ!?」

 トイラはユキにあのときの出来事と月の玉について話してやった。

 ユキは自分の胸を押さえ愕然としていた。
< 189 / 360 >

この作品をシェア

pagetop