恋の宝石ずっと輝かせて
「じゃあ、私の中には月の玉があって、このあざが満月の形になったとき、私は死んでしまうの」

「いや、そうはさせない。君を助ける方法が一つだけあるということはわかっているんだ。だが、今の俺にはどうすべきなのかわからない。でも必ず見つけて助ける。約束する」

 トイラは思うようにならない悔しさをにじませながら、必死でユキを守ると訴えていた。

 ユキはトイラの側により、優しく笑って肩をそっと抱きしめる。

「トイラ、一つだけ方法があるじゃない。私の命の玉をあなたが受けとること。そうすれば、私はいつまでもあなたと共に生きられる」

「ユキ、そうじゃない、それじゃないんだ。あのとき森の守り主は確かに言ったんだ。君を助けることができる方法が他にあるってことを」

「じゃあ、約束して、もしその方法がタイムリミットまでわからなかったら、私の命の玉を取るってことを。それならいいでしょ。ねっ」

「ユキ」

 トイラは難しげに一点を見つめながら、ユキの言葉が自分の耳に何度もリフレインしていた。

 果たして本当にそんな約束をしていいものか、しかし方法が見つからなければ、ユキは死んでしまう。

 そうする術しか残されてないのだろうかと、自分の能力の限界が腹立だしくて、テーブルを拳で叩いてしまった。

「トイラ、ほら、そんなに苛々しなくても。私はトイラに任したからね。私ね、こんな状況かもしれないけど、それでもすごく幸せなの。記憶が戻って、トイラの傍にいられるってことがほんとに嬉しい」

 トイラの首に手をかけて、ユキは力強く抱きついていた。

「ユキ、苦しい」

「あの~、お取り込み中すみませんが、また学校遅刻しそうなんですけど」

 キースがぼそっといった。

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