恋の宝石ずっと輝かせて
 トイラは物珍しそうに魅入っている。

 トイラの森はどこかの森と繋がり、様々な動物との邂逅がある。
 あの森の空間は人間の世界とは滅多に交わらない異次元のようなものだ。

 カナディアンロッキーから来たとは言っているが、実際はそこに繋がるだけで正式な位置は誰にも分からない。

 ユキはそんな世界に紛れ込んでトイラと知り合った。

 他にも色んな動物が多々紛れ込んでくるが、未だに出会ったことのない動物もいた。

 トイラが象を目にしたとき、その大きさと鼻の長さに感銘を受けていた。 

 象もまた直感でトイラの特別な気を感じ寄って来る。

 『初めまして』とトイラは尊敬の念を持って一礼すれば、象もまた鼻を上げて下ろす動作をした。

 象なりにお辞儀をしているようだった。

 トイラは訳のわからない言葉、というより、不思議な音を出している。

 会話しているのか、象がそれに合わせて、鼻で相槌をとっているように見えた。

 ユキはその姿をみて微笑ましく思った。

「象と何を喋ってたの」

「他愛もない世間話ってところさ」

 動物との会話は、あまり人間には話してはいけないのか、トイラは内容を言いたがらなかった。

 教えてくれないトイラにむすっとしていると、トイラは『すまないな』とでもいっているのか、優しく笑ってユキの頭に軽く手を置いた。

 睨んでいた頃が嘘のように、トイラはユキに気を遣う。

 こっちが本当のトイラの姿だ。
 ユキは嬉しくて自分の手をトイラの腕に絡めてぎゅっと抱きついた。

 誰が見てもふたりは恋人同士に見えていた。

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