恋の宝石ずっと輝かせて
その声はミカのかわいい声ではなかった。ジークそのものだった。
いつジークに取り憑かれたんだ。
トイラは自分の浅はかさを嘆いた。
ミカは容赦なく木の枝を振り上げどんどん攻撃をしかけてくる。
トイラはそれを避けるだけで精一杯だった。
それになんといっても、ミカは自分の敵ではない。
攻撃などできるわけがなかった。
普段のトイラなら逃げ切ることができるのに、体が鉛のように重く、いつものように動けない。
気を許せばミカにやられてしまいそうだ。
トイラはやっと気がついた。
シナモン味のクッキー。
あれには体の動きを鈍らせる、魔物の実が入っていた。
魔物の実──。
それはどんぐりほどの大きさで丸く、固い殻で覆われた木の実だ。
人間が食べてもなんともないが、トイラのような森の守り駒が食べると筋肉の動きを鈍くする。
匂いはシナモンと似ていて、摩り下ろして粉にすればスパイスと判別がつかないものだった。
まさかミカが魔物の実の存在を知ってるとは思わなかったので、シナモンの香りに気がついてもトイラは疑わなかった。
迂闊だった。
トイラはミカ相手に焦っていた。
その様子を太陽の玉に映してジークは見ていた。
「愉快だ。実に愉快だ」
笑いが止まらない。わくわくが止まらない。楽しくて仕方がない。
自分の出る幕が来るまで娯楽番組を観るように高見の見物をしていた。
いつジークに取り憑かれたんだ。
トイラは自分の浅はかさを嘆いた。
ミカは容赦なく木の枝を振り上げどんどん攻撃をしかけてくる。
トイラはそれを避けるだけで精一杯だった。
それになんといっても、ミカは自分の敵ではない。
攻撃などできるわけがなかった。
普段のトイラなら逃げ切ることができるのに、体が鉛のように重く、いつものように動けない。
気を許せばミカにやられてしまいそうだ。
トイラはやっと気がついた。
シナモン味のクッキー。
あれには体の動きを鈍らせる、魔物の実が入っていた。
魔物の実──。
それはどんぐりほどの大きさで丸く、固い殻で覆われた木の実だ。
人間が食べてもなんともないが、トイラのような森の守り駒が食べると筋肉の動きを鈍くする。
匂いはシナモンと似ていて、摩り下ろして粉にすればスパイスと判別がつかないものだった。
まさかミカが魔物の実の存在を知ってるとは思わなかったので、シナモンの香りに気がついてもトイラは疑わなかった。
迂闊だった。
トイラはミカ相手に焦っていた。
その様子を太陽の玉に映してジークは見ていた。
「愉快だ。実に愉快だ」
笑いが止まらない。わくわくが止まらない。楽しくて仕方がない。
自分の出る幕が来るまで娯楽番組を観るように高見の見物をしていた。