恋の宝石ずっと輝かせて
「トイラ、大丈夫よ。私、ほら、生きてるから、時間はまだあるってこと。もしもの時は、わかってるでしょ。何、気弱なこと言ってるの。トイラらしくないぞ。ここへ来た当時は強気に睨んでたくせに」

 ユキは笑って答えてやった。

 トイラの苦しみは痛いほど胸に突き刺さる。

 ユキこそトイラを追い詰めていることが辛くて仕方がない。

「とにかくトイラの手当てと、ミカをどうするかだ。仁、そこに突っ立ってないで、こっち来てくれ」

 キースに呼ばれて、我に返って仁は恐々と近づいた。

 ユキの顔を見ると少し腫れて、口から血が出ていることに気がつく。

 見るに耐えられない。

 でもユキは仁に笑顔を見せる。

 心配するなとでも言いたげに。

 仁は、そんなユキをみて声をかけることすらできなかった。

 『大丈夫?』だなんて、そんな軽々しい心配がこの状況では言えるわけがない。

 どう見ても命がけで、まるで戦場にいる気分だった。

 キースはミカの首筋の傷を見つけ、指で撫でるように触れた。

 たちまちすっと消えていった。

「僕はミカを連れて行く。この子からトイラへの憎しみを取り払わないと、また同じ事を繰り返されるかもしれない。仁、悪いがトイラを宜しく頼む」

「わかったよ、キース」

 キースはミカを抱き上げて去っていった。

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