恋の宝石ずっと輝かせて
「トイラ、立てるかい? クシュン、あっ、ごめん。クシュン」

 仁はトイラを起こし、自分の背中に乗せておんぶしてやった。

「すまない、仁。重いだろ。それにくしゃみ、大丈夫か」

「大丈夫さ。クシュン。僕だって、ほら役に立つことあるだろ。クシュン。ユキ、君は、一人で歩けるかい? クシュン」

 ユキはふらっとしながらも立ち上がった。

 自分で歩けると、笑顔で頷いていた。

 仁はくしゃみが止まらなかったが、それでもこの時は自分しか助けられないと、できるだけくしゃみをしないように、踏ん張った。

「トイラを病院に連れて行った方がいいかもしれない。傷もかなりひどそうだ。クシュン」

 仁はトイラが落ちないように、一度自分の背中を持ち上げて、担ぐ位置を整えた。

「ダメだ、病院は行けない。俺が人間じゃないことがバレてしまう。そうなれば、好奇心旺盛な生物学者の注目の的だ」

「クシュン、しかし、このままじゃ…… あっ、いい事思いついた。僕に任して。クシュン」

 トイラもユキもなんだろうと、顔を見合わせ首を傾げていた。
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