恋の宝石ずっと輝かせて
 パトカーの後部座席でトイラとキースは顔を見合わせていた。

 悪いことなど何もしてない。

 ただ自分たちが異種なだけで捕らえられてしまった。

 あまりにも理不尽すぎて、どうしようかあぐねていた。

 トイラはキースに目で訴える。

 ──俺達どうなるんだ。

 キースは手錠をかけられた自分の手を胸元に引き寄せ、わからないと肩をすくめていた。

「僕たちどうなるんですか」

 キースが一応、前に居る警察官に聞いてみた。

「とりあえず、事情聴取ということで、あの、その、とにかく署まで来て下さい」

 どう対処していいのかわからないのか、警察官もこの状況に混乱していた。

 豹と狼に変身する人間を野放しにしていたら、住民の不安を買う。

 身柄を拘束して、町の騒ぎが大きくならないようにするしかなかった。

「事情聴取で、どうして俺たちは、犯人扱いにならないといけないんだ。この手錠をはずしてくれ」
 トイラは手錠がかけられた手を、警察官の座席越しに突き出した。

 助手席に座っていた警察官は怯えてしまう。

 運転していた警察官もびくっとして、一瞬車が道を外れた。

「トイラ、やめろ。ここは従うしかない」

 手錠が繋がれている両手で、キースはトイラを後ろに引いた。

 トイラは落ち着かない気持ちのまま、座席に深く腰掛け窓から景色を眺める。

「ユキは大丈夫だろうか」

 トイラはぽつりと呟いた。

 あの泣き叫んでいたユキの顔が忘れられない。

 このまま引き裂かれて会えなくなるのではと思うと、しゅんと小さく縮こまった。

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