恋の宝石ずっと輝かせて
第十一章 大切なものと共に前に


 太陽の玉が半分に割れた──。

 天空が裂けたようなこの世の終わりとでもいう衝撃がジークの体に走っていた。

 真っ青な顔付きで立ちすくんでいる。

 ジークは悶絶間際のからからに涸れた喉の奥から、 悲鳴に似た奇声をあげる。

 割れてしまうことなどありえない。

 ありえないはずのことが起こった。

 絶望の中、ジークの手のひらで太陽の玉は小刻みに震えている。

 ジークだけではない。

 トイラやキースまでもその出来事にショックを受け仰天した。

 太陽の玉は森の秩序を守るもの。
 これがなければ森は消滅してしまうことを森の守り駒は充分に知っていた。

 それが目の前で真っ二つに割れることは破滅を意味していた。

 森の守り駒たちの驚きは、辺りをフリーズさせる程の衝撃を与え、時を止め音さえも飲み込んだ。

 その時、ユキの苦しむうめき声が静粛の中で小さく洩れた。

 ハッとトイラは我に返る。
< 323 / 360 >

この作品をシェア

pagetop