恋の宝石ずっと輝かせて
「血圧は異常ないわね。でもどこか痛いところある?」

 血圧の道具を片付けながら先生が聞く。

 ユキは無意識に胸の辺りに手を置いた。
 少し熱を持ったように熱く感じていた。

 でも首を横にふる。

「それなら、もう大丈夫みたいね」

「センセー、ツヅキ、ハヤク、ハヤク」

 キースが部屋の隅に置かれている机の傍で座っていた。

 その机の上にはオセロが置かれている。 

「はいはい、ただいまただいま」

 先生も調子よく答えて、キースのいる場所に戻って行った。

 ボードをみるなり、先生は考え込む。

「なかなか強いね、君」

 二人して楽しく遊んでいた。

「あのゲームが終わるまで、ここでゆっくりしてもいいだろう」

 キースと先生の様子を眺めながらトイラが言った。

「私、気絶したの?」

 ユキが心ここにあらずで訊いた。
 まだ無意識に胸の辺りに手を置いている。

「ユキ、胸が痛むのか?」

「えっ? ううん、大丈夫だけど。私、あの時、カラスの羽を拾おうとして、それで……」

 トイラはユキの言葉を遮るように声を出す。

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