恋の宝石ずっと輝かせて
 持っていたスズメを感情任せに窓から放り投げる。
 スズメは必死に羽ばたいて暗闇の中へ消えていった。

 すぐさまユキの元に駆け寄り、怪我はないかと指を確かめようとするが、ユキは胸を押さえつけ腰を屈めていた。

「どうしたユキ」

 トイラの血の気が引いていく。

「だから言わんこっちゃないんだよ。あのスズメは……」

 キースがそこまで言いかけると、トイラは黙れときつく睨み返した。

「ユキ、苦しいのならベッドに横になれ」

「大丈夫。噛まれてちょっとびっくりしただけ」

 ユキは落ち着こうと何度も深呼吸していた。

「胸が苦しいのか」

 トイラが心配して、ユキの胸の辺りをじっと見つめる。

 それに気がついたユキは、我に返って慌て出した。

「ちょっと、どこ見てるのよ」

「胸だけど」

 正直に言われると益々ユキの感情が高ぶってくる。
 トイラの顔がまともにみられない。

「ふたりとも出て行って!」

「ユキ、落ち着け。違うんだって」

 トイラが誤解だと焦ってる。

「何もユキの平べったい胸なんて興味もってないって」

 キースの余計な一言で、ユキは真っ赤になって怒り出し、力ずくでふたりを追い出した。
 
 バタンと大きな音を立て、トイラとキースの目の前でドアが閉まると、ふたりは身を竦めた。

「ん、もう! 馬鹿!」

 ドア越しにくぐもった叫び声が聞こえ、トイラは恨めしくキースを睨んだ。

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