恋の宝石ずっと輝かせて
「キースのせいだぞ」

 トイラが責める。

「トイラだって何も正直に答えなくてもよかったんだよ。だから僕はトイラのために誤解を解こうとしてだな」

「何も、あんな言い方することないだろ。人間はそういうの気にするんだよ。俺は胸の大きさなんか気にしねぇーぞ」

「今、そんな事議論してる場合じゃないだろ。肝心なのは胸が痛み出したって言うことだ。僕はスズメに気をつけろっていったぞ」

 キースの言う通りだった。全ての責任はトイラにあった。

 自分が恐れている事が現実になりつつある。

 ユキの胸が苦しくなれば、アレが浮き出してくる。

 これは奴によって仕掛けられた罠だ。

 トイラは黙り込み、顔を歪ましていた。

「トイラ、ここは考え込んでも何の解決もならない。ユキを守るには奴を近づけないことだ。なんとしてもユキに近づく前に奴を始末しないと」

「わかってる。必ずこの蹴りをつけてやる」

 トイラは固く誓い、ユキの部屋のドアを見つめる。

 自分がしっかりしないせいで、ユキをどんどん危ない目に陥れてしまい、それが苦しくてたまらない。

 まだまだ未熟な自分にイラついてしまった。

 そのドアの向こうで、ユキはベッドの上で持って行きようのない思いに身をひるませじたばたしていた。

 そのうち静かになって、ただ寝転がりため息をついた。

 微笑んだトイラの顔を思い出せば、またドキドキとしてしまう。

 笑ったときのトイラの緑の目が優しすぎて、ユキはそれにすがりたいと心奪われていく。

 でも容易に近づけさせないトイラに、無性にヤキモキし、そしてユキもまた素直になれずに反発する。

「何よ、アイツ」

 悪態をついても、トイラを憎みきれなかった。
 
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