恋の宝石ずっと輝かせて

 テーブルの上の食べかけのハンバーグ。

 すっかり冷め切っていた。

 ユキはそれを見つめていると涙が溢れ出して、自分に腹が立ってくる。

 ユキは泣きながらお皿を手にして、そこにあった全てのハンバーグをゴミ箱の中に力任せに捨てた。

「ユキ、何も君の分まで捨てなくてもいいじゃないか」

「だって、こんなの作ったからトイラは」

「僕がはっきりといわなかったのが悪かった。玉ねぎアレルギーといえばよかったんだ」

「アレルギー!? えっ、そんな。私、なんてことを。ごめんなさい」

 ユキは声を上げて泣き出した。

「だから、泣かないで。事情を知らなかったから、ユキは好き嫌いをなくそうとして、工夫して作ってくれただけさ」

「でも意地悪したのと同じだった。それなのにどうしてトイラは玉ねぎが入ってるって分かってて食べたの」

「トイラはユキが作ったから食べたかったんだ。いつも言ってるよ。ユキの作る料理はおいしいって」

 ユキの涙は当分止まらない。
 顔をくしゃくしゃにして喚いてしまう。

 キースはユキの頭をポンポンと軽く触れてなんとか慰めようとしていた。

 トイラは起伏が激しく、振り回されては腹が立つが、ユキが作ったものは必ず文句を言わず食べる。

 後片付けも手伝う。

 それがトイラの優しさだとユキはその時気が付いた。

 ユキの肩はいつまでも小刻みに震え、嗚咽していた。
 
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