恋の宝石ずっと輝かせて
「ユキ、トイラは君が思ってるほど悪い奴じゃないんだ。ちょっと気分屋で気難しいところがあるけど、アイツ、ほんとはいい奴なんだぜ。僕もそういう所が結構好きなんだ」

 キースは今がチャンスとばかりにトイラの肩を少し持ってやりたかった。

「ほら、もう泣くなって。僕ちょっと出かけてくるよ。トイラの薬買ってくる」

「それなら、私が買ってくる」

「いいよ、僕にしかわからないから」

 すっかり辺りは暗くなっている。月明かりを頼りに、キースは薬を求めて出かけていった。

「気をつけてね」

 泣きすぎて、赤く腫れた目を向けてユキはキースを見送った。

 キースが行ってしまうと、急に家の中が静かになりユキの心細さを一層かきたてる。

 トイラの様態が急変したらどうしよう。

 心配で階段をそろりと上がって、トイラの部屋をそっと覗く。

 少しあけたドアの隙間から、苦しそうにうなされているトイラの顔をみると、いてもたってもいられない。

「やっぱり医者に見てもらわないと」

 そう思や否や、一目散に玄関に向かい、靴を履いて外に出ると、ユキは慌てて自転車にまたがりペダルをこいでいた。

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