思いは海の底に沈む【完】
喚かれるのが嫌なので急いで外に出た。
早く仕事に行こう。
「見つけました。あなた、家はこの近くなんですか?」
あ、あれ?フラフラ歩いてて定かじゃないけど…この前の執事さん?
『…』
「あなた、大丈夫ですか?」
『いや、さわらないで…緑川さんを…呼んで』
あ、電話を渡したらまずい
そもそも、なんでだろう、何でこの人俺の家を突き止めようとしてるんだ?
信用してはいけない。弱味を見せちゃったら終わりだ
緑川さんも言ってたし…。
「!?ちょっと!どこに」
『仕事…』
ふらふら歩いてるせいで車が走ってるのに気がつかなかった
車道に転んでしまう
「危ない!」
柊さんに手を引かれて柊さんにもたれ掛かる
あ…。
気持ちがいいな
ずっと、こうしていたいな…。
あ、でもここ……どこだっけ?
…もうなんでもいいや。雲の上にいるみたいだ