思いは海の底に沈む【完】
次に目を覚ました時は扉の閉まる音だった




やばい!

目を開けると俺は執事の柊さんにお姫様だっこされている




『やだ!下ろして…!ここどこ!?』

「俺の部屋です。緑川には連絡を入れました、直ぐに緑川が来ます
ズボンが汚れていましたので替えに
貸しますから少し待っててください」

『や!あの、気持ちは嬉しいけど!でも…』



そんなことより早く外に出させてほしい

出なきゃいけない




足を床に下ろされたがバランスを崩し柊さんの胸に倒れこむ



『柊さん…』

お願い。もう関わらないで…。




引き剥がされて黙って優しくベッドに下ろされる





「替えのズボンを取ってきますので動かないでください!!」


強い口調でそう告げて珍しく大きな足音を立てて部屋を後にした


ぶっ


思わず、噴き出してしまった

あの人、今のどこであんなに怒るとこあったの?






こんな俺の正体がバレるかかバレないか…という緊張状態なのに不謹慎だ

柊さん、前から思ってたけど面白くて好きだな…。
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