思いは海の底に沈む【完】
緑川さんの電話が鳴った

緑川さんは顔が険しくなったが出た



「何の用?…は?」



電話の主は乙羽さんで俺に用があったらしい






俺は緑川さんに連れられて喫茶店に向かった




「ごめんなさいね。お呼びしてしまって」

「やだもぉ~。そう言うなら呼ばないで」




緑川さんがすごい怒ってる…。
乙羽さんは困った顔をして口を開いた


「湊くん、あなたの恋人についてなんだけど…」

…美代子さんが?





「昨日、うちのシマのホストクラブで朝まで飲んでは1銭も払わなかったの。湊くんにツケを払わせてって」


し、シマ?やっぱり、この人が女王みたい
…あ、なんだ。
もっとやらかしたからと思ってホッとした



『そんなことか。お支払いします、そのホストクラブの場所を教えてください』

「そんなこと…ってあなたの恋人は浮気をした上に料金まで払わせるのよ?異常だと思わないの?」

『乙羽さん、心配してくれるなんてお優しいですね。俺は美代子さんが笑ってくれればいいんです。教えてください』

「……。ここで預かるわ」

『わかりました。近くの銀行に』





乙羽さんは珍しく声を上げる
しかも緑川さんに投げ掛けた


「緑川、何で止めないの!!」

「プライベートまで湊のマネージャーはやってないからよ。湊には裏がないから湊の彼女が異常でも放っておいてるの。
それとも何?湊の事まだ嗅ぎ回ってるわけ?」

『あの、いくらですか?』

「大金なので付いていきます」
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