思いは海の底に沈む【完】
撮影は順調に事が進んだ
動きの自主練をしていると人影が見えて中断する
人影の正体は柊さんだった
『あれ?ワンちゃんじゃん!どうしたの?』
「いえ、お嬢様がこの辺で用事がありましてもしかしたら湊いるかなと。…これ、どうぞ」
差し出されたのはジュースだった
『?ありがとう。差し入れ?優しいね』
「!?ちがっ、この前のお礼です」
『コロッケの?そんな、いいのに』
「…さっきのアクションだとやられますよ」
『じゃあ、ワンちゃんならどう出るか教えて?』
俺は敵役のアクションで柊さんに向かっていくとあっさりかわされた
後ろに周り、手を捕まれる
『なるほど!こうなるのか…』
そしたら
片手で殴る素振りをして柊さんを蹴りあげた
「あなた、そんなことも出来るようになったんですね」
『うん。今度は襲われないように』
「でも、隙がありすぎます」
柊さんに足を取られて倒され銃を突きつけられた
「なかなか良かったですよ」
『ありがとう!ワンちゃんが時間あるとき教えてよ』
「…仕方ありませんね」
『でも凄いな。緑川さんと同じ位できるって事はワンちゃんも元傭兵だったの?』
「いいえ、緑川のそれも定かな情報ではありません。それに私は傭兵ではありませんでしたよ」
『へぇ~、秘密が多いんだね』
「あなただって、そうでしょう」
『俺?俺は不必要な事は言わない主義なんだよ』
「は?ずるいですよ」
「…湊くん!撮影始まるから来て」
『はーい。…じゃあ、ワンちゃん今度美味しいお肉食べに行こうね』
「バカにしないでください」
『へへ』