思いは海の底に沈む【完】
俺は車に押し込まれる

乙羽さんを優しくシートに乗せていた

…良かった。旦那さんで合ってたみたいだ。




『ありがとうございました。乙羽さんの事頼みま…』





車から出ようとしたのに鍵をかけられて車を走り出す



『あ、送ってくれるんですか?ありがとうございます』

「…」

『乙羽さんのルージュの人ですよね?
乙羽さんは今でも月神様って呼んでるんですか?』

「…」




本当この人話さないな…。ちょっと柊さんと似てるかもね

「俺の婚約者は乙羽の双子の妹だった。
親の決めた結婚でお互いに乗り気じゃなくて妹の陰謀で妹として乙羽が送り込まれてきた
その時はそう呼ばれてたが今は名前で呼びあっている」

あの、仲の良い妹さんと…?
というか、話してくれるのが嬉しかった


『凄いドラマチック!ルージュのイメージが湧くのも分かります!』

「お前は…妹だと嘘をついていた頃の乙羽に似ている」

『え…』



この人、嘘だって気がついて身構えるとすかさず旦那さんは口を開いた



「安心しろ。乙羽も気づいてなければ誰にも言わない」

『…ほ、本当ですか!?』

「着いたぞ」
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