狼を甘くするためのレシピ〜*
 今日も、ショーウィンドウに映る自分の変身ぶりに満足した蘭々は、微かに笑みを浮かべる。

 初めてこの姿で店に出勤した時は、店長以下みんな驚いた。

 それも当然だろう。
 LaLaはあくまで女性らしいイメージだったから。

 その後、店のロッカールームでウィッグを着け、化粧を直して制服の黒のスーツに着替え、皆がよく知るLaLaになって再び店内に顔を出すと、皆はホッとしたような笑顔になった。

 ボーイッシュな蘭々よりも、みんなは女性的なLaLaが好きなのだ。

 自分の思いと他人の思いの違いに苦笑するしかなかったが、ふと、ケイはどうなのだろうと思った。

 本当の姿を知らない彼は、どちらの蘭々が好みなのだろう?

 ――あるいは、地味なアキのほうが好きだと言ってくれはしないだろうか?

 そんな思いが、不意に浮かぶ。
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