狼を甘くするためのレシピ〜*
「ありがとうございました」
若いカップルの客を見送ると、心に湧き起こったのは後悔だった。
――せっかく誘ってくれたのに……。
ケイは今、どうしているだろう?
そんなことを思いつつ時計をみると、もうすぐ午後一時になろうとしていた。
蘭々のランチタイムの時間である。
「休憩はいるわね、よろしく」
「はーい」
ちょうど客が途切れたところでそんな会話をした時、通りに面したガラス越しに今まさに店に入ろうとする男性の姿が目に映った。
「いらっしゃいませ」と声を合わせた後、蘭々は慌ててカウンターの下に身を沈めた。
――う、うそっ!
なんと、男はケイではないか。
その場に屈んだまま、用もないのに箱を手に取ってみたりしているうちに店員のミユキとケイの会話が始まった。
「何かお探しですか?」
「誕生日のプレゼントに、ネックレスをと思ってね」
ミユキの質問と、それに答えるケイの声を聞きながら、蘭々はそっと奥へと脱出する。
若いカップルの客を見送ると、心に湧き起こったのは後悔だった。
――せっかく誘ってくれたのに……。
ケイは今、どうしているだろう?
そんなことを思いつつ時計をみると、もうすぐ午後一時になろうとしていた。
蘭々のランチタイムの時間である。
「休憩はいるわね、よろしく」
「はーい」
ちょうど客が途切れたところでそんな会話をした時、通りに面したガラス越しに今まさに店に入ろうとする男性の姿が目に映った。
「いらっしゃいませ」と声を合わせた後、蘭々は慌ててカウンターの下に身を沈めた。
――う、うそっ!
なんと、男はケイではないか。
その場に屈んだまま、用もないのに箱を手に取ってみたりしているうちに店員のミユキとケイの会話が始まった。
「何かお探しですか?」
「誕生日のプレゼントに、ネックレスをと思ってね」
ミユキの質問と、それに答えるケイの声を聞きながら、蘭々はそっと奥へと脱出する。