狼を甘くするためのレシピ〜*
昨夜、ラウンジを出てから、『今の人は燎さんのお友だち?』不自然にならないよう、話を切り出したつもりだった。
既に友達だとは紹介されていたから、紗空が聞きたかったのはどんな仕事をしていて、燎とはどういう友達で、どういう人なのかということだ。
でも、たったそれだけの言葉に、恋人の燎は眉間をひそめたのである――。
紗空の少し困った顔を見て、蘭々はハッとした。
「あ! もしかして紗空ちゃん。燎に叱られた? そうなんでしょ」
驚いたように紗空は目を見開く。
思った通りだと、今更のように蘭々は頭を抱えて謝った。
「ごめんね。紗空ちゃん」
紗空の恋人須王燎は、プライドの高い男である。
自分の恋人が他の男に興味を持つことを許すはずがないのだ。
「いえいえ、まあ――その、私の聞き方が悪かったんです。でも大丈夫です!納得してくれましたからっ!」
慌てて紗空は左右に上下に首を振る。
「とりあえず、燎さんにこう言ったんです。『私の友達が、あの人と一緒にいるのを見たことがある』って」
「それで納得してくれたの? 怒ってるなら私が」
「いえいえ、本当に大丈夫です」
――実は。
『紗空、俺がそんなことを許すと思うか?』
散々弄られた昨夜のことが頭を過り、紗空は耳まで赤く染めたが、コホンと軽い咳で気持ちを落ち着けた。
既に友達だとは紹介されていたから、紗空が聞きたかったのはどんな仕事をしていて、燎とはどういう友達で、どういう人なのかということだ。
でも、たったそれだけの言葉に、恋人の燎は眉間をひそめたのである――。
紗空の少し困った顔を見て、蘭々はハッとした。
「あ! もしかして紗空ちゃん。燎に叱られた? そうなんでしょ」
驚いたように紗空は目を見開く。
思った通りだと、今更のように蘭々は頭を抱えて謝った。
「ごめんね。紗空ちゃん」
紗空の恋人須王燎は、プライドの高い男である。
自分の恋人が他の男に興味を持つことを許すはずがないのだ。
「いえいえ、まあ――その、私の聞き方が悪かったんです。でも大丈夫です!納得してくれましたからっ!」
慌てて紗空は左右に上下に首を振る。
「とりあえず、燎さんにこう言ったんです。『私の友達が、あの人と一緒にいるのを見たことがある』って」
「それで納得してくれたの? 怒ってるなら私が」
「いえいえ、本当に大丈夫です」
――実は。
『紗空、俺がそんなことを許すと思うか?』
散々弄られた昨夜のことが頭を過り、紗空は耳まで赤く染めたが、コホンと軽い咳で気持ちを落ち着けた。