狼を甘くするためのレシピ〜*
「どうぞ。月子さんのお気に入り。姿が見えたからついでです」
通りの反対側にコーヒーショップがある。
森はそこから客を送り出す月子を見たのだろう。
パーカーを着てリュックサックを背負っている彼は、手にした紙コップのうち一つを差し出した。そしてにっこりと笑みを浮かべる。
「わーい、ありがとう」
まるで学生のような幼さが残る微笑みに、つられたように月子も目尻を下げた。
彼女に弟はいないが、森といると、まるで可愛い弟といるような温かい気持ちになる。
蓋の隙間からスパイシーな香りが立ちのぼり、鼻腔をくすぐってくる。
シナモン入りのバターコーヒーは彼女のマイブーム。
うーんいい香り、と思わず感嘆の声がでた。
「お金払うわね」
「大丈夫ですよ、いつもお世話になっているお礼です」
「だめよ、いつもいつも悪いわ」
「じゃあ、ランチごちそうしてください」
クスっと月子が笑う。
「わかった。ふわふわ卵のサンドイッチでいい?」
森は、近所の店でテイクアウトできるフワフワの卵焼きのサンドイッチが好物だ。
「やったー」
「え、でもこれから社長と出かけるからちょっと遅くなるかも」
「全然大丈夫です。さっき朝ごはん食べたばっかりだから」
通りの反対側にコーヒーショップがある。
森はそこから客を送り出す月子を見たのだろう。
パーカーを着てリュックサックを背負っている彼は、手にした紙コップのうち一つを差し出した。そしてにっこりと笑みを浮かべる。
「わーい、ありがとう」
まるで学生のような幼さが残る微笑みに、つられたように月子も目尻を下げた。
彼女に弟はいないが、森といると、まるで可愛い弟といるような温かい気持ちになる。
蓋の隙間からスパイシーな香りが立ちのぼり、鼻腔をくすぐってくる。
シナモン入りのバターコーヒーは彼女のマイブーム。
うーんいい香り、と思わず感嘆の声がでた。
「お金払うわね」
「大丈夫ですよ、いつもお世話になっているお礼です」
「だめよ、いつもいつも悪いわ」
「じゃあ、ランチごちそうしてください」
クスっと月子が笑う。
「わかった。ふわふわ卵のサンドイッチでいい?」
森は、近所の店でテイクアウトできるフワフワの卵焼きのサンドイッチが好物だ。
「やったー」
「え、でもこれから社長と出かけるからちょっと遅くなるかも」
「全然大丈夫です。さっき朝ごはん食べたばっかりだから」