狼を甘くするためのレシピ〜*
5.首ったけのララバイ
その日の夜。
お疲れ様でしたと店を出ると、蘭々は自転車を飛ばした。
差し入れは、途中で買ったちょっとだけ値の張るワイン。
レストランバーでの食事のお礼と手切れ金のつもりである。
マンションの手前で自転車を降りた。
ケイの部屋が見えるだろうかと見上げてみても、どんなに見たところで首が痛くなるだけでまったくわからない。
駐輪場に自転車をとめて、すぐに渡せるようにリックの中からネクタイとワインを取り出す。
エントランスに入ると、軽くコンシェルジュに挨拶をする。
今朝も顔を合わせてためか、微笑みを返されるだけで何も聞かれない。
呼び出しボタンを前に大きく息を吐いた。
これほどドキドキするのはいつ以来だろう。ゴクリと喉が鳴る。
勇気を出してボタンを押した。
応答はない。
約束をしたわけではないのだから、いなくても仕方がないが、間をおいて二度三度と連打した。
相変わらず応答はない。
仕方がない。出直そうとため息をついた時『はい』とケイの声がした。
お疲れ様でしたと店を出ると、蘭々は自転車を飛ばした。
差し入れは、途中で買ったちょっとだけ値の張るワイン。
レストランバーでの食事のお礼と手切れ金のつもりである。
マンションの手前で自転車を降りた。
ケイの部屋が見えるだろうかと見上げてみても、どんなに見たところで首が痛くなるだけでまったくわからない。
駐輪場に自転車をとめて、すぐに渡せるようにリックの中からネクタイとワインを取り出す。
エントランスに入ると、軽くコンシェルジュに挨拶をする。
今朝も顔を合わせてためか、微笑みを返されるだけで何も聞かれない。
呼び出しボタンを前に大きく息を吐いた。
これほどドキドキするのはいつ以来だろう。ゴクリと喉が鳴る。
勇気を出してボタンを押した。
応答はない。
約束をしたわけではないのだから、いなくても仕方がないが、間をおいて二度三度と連打した。
相変わらず応答はない。
仕方がない。出直そうとため息をついた時『はい』とケイの声がした。