狼を甘くするためのレシピ〜*

 次の日、蘭々は仕事が休みだった。

 ケイも仕事は休みだと言う。だからドライブでもしようぜと。

 ドライブとは言っても車じゃなくて大型のバイクだった。
 ケイの皮ジャンを羽織り、ケイの手袋をして背中にくっついていると、吹き抜ける風の中でもケイの匂いをしっかりと感じた。

 ケイは男で自分は女なんだという、当然のことが胸を締め付ける。

『お前は俺の女だ』

 なんと絶妙な言葉だろう。

 俺の女は、何人いるの?

 俺の女は、恋人なの?


 ――あなた、私を愛してる?

 都合よく思ってる?

『俺の女』

どんな風にも解釈できる、なんと恐ろしく、甘い言葉だろう。
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