狼を甘くするためのレシピ〜*
コトコトコト。
小気味よい打鍵音を立てながらキーボードを打っていた月子の指先が、ピタリと止まる。
入力を妨げたのは、画面中央に表示されたポップアップメッセージ。
柊(ひいらぎ)常務からの通知だ。
『午前中、経営会議をしようと思う。都合はどう?』
『大丈夫です』と返信を送ると、またすぐにメッセージが送られてくる。
『径生が来たら始めよう。俺は楠木と先に入って打ち合わせをしているから、径生が来たら一緒に来てくれ。よろしく。右端のミーティングルーム』
『了解しました』
返信すると、パソコンの画面から視線を外して、その先を見た。
目に映るのは源社長の席。彼はまだ出勤していない。
昨日、彼は休んだ。
以前から休みの予定だったわけではなく、急に休みをいれたらしい。
柊常務から『径生は今日休むそうだ』と言われてはじめて、月子は彼が休むことを知ったのである。
こんなことは滅多にない。
小気味よい打鍵音を立てながらキーボードを打っていた月子の指先が、ピタリと止まる。
入力を妨げたのは、画面中央に表示されたポップアップメッセージ。
柊(ひいらぎ)常務からの通知だ。
『午前中、経営会議をしようと思う。都合はどう?』
『大丈夫です』と返信を送ると、またすぐにメッセージが送られてくる。
『径生が来たら始めよう。俺は楠木と先に入って打ち合わせをしているから、径生が来たら一緒に来てくれ。よろしく。右端のミーティングルーム』
『了解しました』
返信すると、パソコンの画面から視線を外して、その先を見た。
目に映るのは源社長の席。彼はまだ出勤していない。
昨日、彼は休んだ。
以前から休みの予定だったわけではなく、急に休みをいれたらしい。
柊常務から『径生は今日休むそうだ』と言われてはじめて、月子は彼が休むことを知ったのである。
こんなことは滅多にない。