狼を甘くするためのレシピ〜*
「――いつ気づいたの?私がLaLaだって」

「最初に抱いた時から、普通の女じゃないなと思ったさ」

「な、なによ、どういうこと?」

「考えてもみろ、今時わざわざあんな眼鏡をかける女がいるか?きれいな髪だし、もっさり見せようとしている割にはピアスの穴がある。それに産毛すらないほど手入れをされたそのカラダ。それ以上細かく言うか?」

 バシッと叩いてハッとした。

 ――あ!

 慌てて径生の頬に手を添える。

「ん?」

 目立たないが、唇には切れた後があった。

「仁に殴られたそうね」

「ああ」

「痛かった?」

 径生はクスッと笑う。

「死ぬかと思ったよ」

 弾けたように蘭々はアハハと笑った。

 その笑顔が少し歪み、唇を噛んだ蘭々は、径生の背中に両手を伸ばした。少し背伸びをして径生の首筋に頬をあてる。

 泣きそうな顔を見られたくなかった。
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