狼を甘くするためのレシピ〜*
 白い歯を見せてケイが笑う。

 叩いたところで小さな虫でもたかったかのように、この狼は微動だにしない。

「店に行ったんだぞ」

「そうみたいね」

「明日休みなんだろう?」

「ええ、そうだけど?」

「美味いワインをもらったんだよ。飲んでみたいと思わないか?」

「――おつまみは何?」

「お前のつまみは、採れたての野菜でチーズフォンデュ」

「ケイのつまみは?」

 狼はクスッと笑ってキスをする。

 そして耳元で囁いた。

「決まってるだろ。お前だよ、蘭々」
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