狼を甘くするためのレシピ〜*
 天下のLaLaが、自分のような普通の女と恋人が一緒にいるのを見ただけで不安になったりするものなのかと、ちょっと不思議だった。

 薄化粧の彼女は、グラビアで見る時よりもずっと幼く見えて、か弱そうにも見えた。

 でも多分彼女は弱くはないと思う。握手をした時、なんとなくそう思った。

 綺麗なだけじゃない、放っておけない何か不思議な魅力。
 そんな彼女だからこそ、彼女を助けたい一心であの友人がトイレで声を掛けてきたのだろう。

 なんだかお似合いだな、と月子は思う。

 高慢な感じだったり、弱さを主張するような女だったら意地悪のひとつもできたのに、それができないのはちょっと残念だと不謹慎なことも思ったりもした。

「社長、ひとつだけ教えてくださいよ。正直に」

「ん?」
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