狼を甘くするためのレシピ〜*
 濃紺のストライプが入ったブルー系のネクタイには、ところどころに柄が入っている。

 よくよく見なければわからないが――。

「そういえばこの柄、なんだこれ、犬か?」

「オオカミ!よく見なさいよ、犬はこんなに人相悪くないでしょ?歯をむき出してるじゃないの」

「へえー、おもしれー。よくこんなの見つけたな」

 アハハと笑いながら、「似合うか?」とケイは聞く。

「ばっちりよ。よーく似合ってるわ、狼さん」

 あ、と声を出したケイは思い出したように立ち上がり、『コルヌイエ』の紙袋を持ってきた。

「あ! ネックレス」

 このネックレスをケイが買いに来たのは、つい最近のことだ。

 なのに、今では遠い日のような気がした。

「そういやずっと忘れてた。はい、プレゼント」

「ありがと。開けていい?」

「ああ、もちろん」
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