狼を甘くするためのレシピ〜*
「え?」

「痩せすぎだろ、何食ってるとそんな細くて生きていられるんだ?顔色もよくないし、大丈夫か?」

「失礼ね、大丈夫。ちゃんと食べているし、健康です」

 ――顔色が悪いのは化粧のせいだし、痩せて見えるのは今までの職業柄なのよ。
 心の中だけで、そっと反論してみた。

 でも、心配してくれているようなので、悪い気はしない。
 むしろ好感がもてた。

 ケイの表情から、嫌悪感のようなものは感じないし、心から心配してくれているように見える。

「あなたは、好き嫌いとかなさそうね」

 ガツガツと何でも食べてくれそうだと思った。

「まあな。あ、でもカボチャは無理だ。あれはいただけない」

 ケイは心から嫌そうな顔をする。

「え? カボチャだけ? どうして?どこが嫌なの?」

「ん? 待てよ。よく考えたらピーマンも嫌だな。できれば人参も」

 一気に飲んだビールのせいかもしれないが、彼とは昔からの友人のような気分になっている。そんな蘭々には、気兼ねのようなものは既にない。

「何言ってんのよ、農家なんでしょ」
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