狼を甘くするためのレシピ〜*
2.ミイラ取りミイラになる
 久しぶりにドレスで身を包む。
 ウエスト、よし。
 ヒップ、よし。

 ――モデルを辞めたというのに、プロポーションを維持したいと思うのはなぜだろう?

 太ってしまっては今までの服が着れない。
 いままで憧れ続けてくれたファンの人たちの夢を崩せない。

 あれこれ理由と考えてみたけれど、結局私は自分が好きなのかもしれないな、そう思いながら蘭々は、鏡の中の自分をジッと見た。

 仕事の好き嫌いは別にして、モデルでいる以上自分の体の長所と欠点と向き合ってきた。自分を磨くことが骨身にしみ込んでいる。
 たとえ田舎で老けメイクをしようとも、太ったりはできなかった。

 変装だからいいのであって、老けていくのは怖いと思うし、いつまでも綺麗なままでいたいと思う。

 それが正直な気持ち……。
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