狼を甘くするためのレシピ〜*
あと五段でロビーの床というところで、蘭々は何気なしにフロントに目を向けた。
そこからスーツを着た背の高い男と連れの女性が、階段を振り返って見ている。
男はニヤリと口元を歪めて視線を泳がせている。
――え!?
蘭々は心臓が飛び出そうなほど驚いて、男から視線を外した。
何事もないふりをしながら先を進み、自然を装い衣夢を盾にして、ずっと背後にいる男に視線を向けた。
間違いない、ケイだ。
――どうして!
ここは地方都市ではない。
昼間ならば一千万人を超えるだろうと言われる人口の都内。
そんな偶然が起きるとは予想もしていなかった。
今度こそ、驚愕のあまり息と足を止めた蘭々は、足元に視線を落とし、衣夢に囁いた。
「どうしよう。軽トラがいる」
「え? うそでしょ? ど、どこよ?」
女性が着ているワンピースのブランド名を告げて、「その隣にいるわ」と囁くと、衣夢は女性のワンピースのブランド名を頼りに、目ざとく見つけ出した。
そこからスーツを着た背の高い男と連れの女性が、階段を振り返って見ている。
男はニヤリと口元を歪めて視線を泳がせている。
――え!?
蘭々は心臓が飛び出そうなほど驚いて、男から視線を外した。
何事もないふりをしながら先を進み、自然を装い衣夢を盾にして、ずっと背後にいる男に視線を向けた。
間違いない、ケイだ。
――どうして!
ここは地方都市ではない。
昼間ならば一千万人を超えるだろうと言われる人口の都内。
そんな偶然が起きるとは予想もしていなかった。
今度こそ、驚愕のあまり息と足を止めた蘭々は、足元に視線を落とし、衣夢に囁いた。
「どうしよう。軽トラがいる」
「え? うそでしょ? ど、どこよ?」
女性が着ているワンピースのブランド名を告げて、「その隣にいるわ」と囁くと、衣夢は女性のワンピースのブランド名を頼りに、目ざとく見つけ出した。