狼を甘くするためのレシピ〜*
「万が一、向こうがあなたに気づいても、知らぬ存ぜぬを通す。
それはそれで何にも問題ない。証拠はないんだから」
励ますように蘭々の肩を抱いた衣夢は、
「私としては、続きがあったほうが楽しいけどね」
と付け加えてクスッと笑った。
タクシーの中でひとりになると、蘭々はため息をついて考えた。
一体どこからああなってしまったのか。事の起こりはなんだったのだろうと。
思えば、失恋の話をしてしまったのが間違いの元だった。
『何か悩みがあるんだろう? こうして飲むのも何かの縁だ。聞くくらいは聞いてやるぞ』
そもそもその話になったのは意外なことに、老けメイクに起因する。
『どうしてどう思うの?』
『なにかに疲れたような顔をしてるじゃないか』
いやいや、これはメイクのせいだから。とは言えない。
『そうかな?』
他に言いようがないので、適当にそう答えた。
でもケイは、思いのほか話を引き出すのが上手かった。
それはそれで何にも問題ない。証拠はないんだから」
励ますように蘭々の肩を抱いた衣夢は、
「私としては、続きがあったほうが楽しいけどね」
と付け加えてクスッと笑った。
タクシーの中でひとりになると、蘭々はため息をついて考えた。
一体どこからああなってしまったのか。事の起こりはなんだったのだろうと。
思えば、失恋の話をしてしまったのが間違いの元だった。
『何か悩みがあるんだろう? こうして飲むのも何かの縁だ。聞くくらいは聞いてやるぞ』
そもそもその話になったのは意外なことに、老けメイクに起因する。
『どうしてどう思うの?』
『なにかに疲れたような顔をしてるじゃないか』
いやいや、これはメイクのせいだから。とは言えない。
『そうかな?』
他に言いようがないので、適当にそう答えた。
でもケイは、思いのほか話を引き出すのが上手かった。