狼を甘くするためのレシピ〜*
『ああ。別に無理にとは言わねぇけど、話せば楽になるかもしないぞ。
 あれか、仕事で嫌なことがあったか?仕事してる様子はないし。
 なんだったら紹介するぞ。どんな仕事がいいんだ?事務系か?』

 どうやら本当に心配してくれているらしいケイの話を聞くうち、ふいにコウのことが頭を過った。

 コウとは親友、西園寺洸のことだ。

 出会った青扇学園の頃から、コウはもうひとりの親友、仁と一緒によく心配してくれた。

『蘭々、ひとりで抱えてないで、ちゃんと言わなきゃだめだ。助けようがないじゃないか』

 優しいコウ――。

 青扇学園の同級生である彼を、初めて意識した日のことは、今でも鮮明に覚えている。

 校舎から少し離れたその場所に、彼はひとりでいた。
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