狼を甘くするためのレシピ〜*
 まったく別の世界でLaLaを忘れて生きていくという望みは早くも崩れたが、今はそれを受け入れる自分がいる。

 それも“あの男”のおかげだと思った。

『私、今スランプなの。
 辞めたくて仕事を辞めたんだけど、だからってこの先自分がなにをしたらいいか、全く見えてこない』

『どうせいつかは死ぬんだぞ? うじうじ悩んでいるだけで時間は過ぎる。片っ端からやりたいことをやって、壁にぶつかったらその時考えればいいんじゃねえの?』

『ケイは、それで兼業農家なの?』

『ああ、そうだ。野菜が好きじゃねえのに、農家やって、他にも色々手を出してる。時々失敗するが、人には多分あんまり迷惑かけてないし、概ね楽しいぞ』

 そう言ってケイは笑った。
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