グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

「マロンディス! 」

 後から追いかけてきたティミスと、ジュリアルがやって来た。


「マロンディス、ディアンナはどうした? 」

「兵士が連れて行きました。事がハッキリするまで、監禁します」

「わかった。それより、怪我をしているな。すぐに医者を呼ぶよ」


「いいえ、大丈夫です。このくらい、なんともございません。・・・お気になさらないで下さい・・・」

 そう答えるシルビアの声が震えていた。


「シルビアさん・・・」

 ジュリアルがシルビアの傍に歩み寄ってきた。

「初めまして、私、マロンディスの姉ジュリアルです。貴女の事、ずっと、マロンディスを通して感じていたのよ。今こうして、貴女を近くで見てやっとわかったわ」

 ジュリアルはそっと、シルビアの手をとった。

「一緒に来て、お洋服が血で汚れてしまっているわ。着替えましょう」

 
 いいえ・・・結構です・・・

 そう言いたいシルビアだったが、何故か喉に張り付いて言葉が出てこなかった。


「マロンディス。後は私に任せて、お医者様が来たら手当てしてもらうから」

「うん、わかったよ」

 ジュリアルはシルビアを連れて行った。


「全くもう! あのディアンナって怖い人。私にもよく、わけわかんない事で怒って、すっごく殴ってきていたんだよ」

「パティーナ、ごめん。気が付かなくて」

「お父さん病気だったから仕方ないよ。大丈夫だよ」

 ギュッと、パティーナはマロンディスにしがみついた。


 そんな2人を見て、ティミスはなんだか嬉しくなった。
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