グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「俺のことを想って、記憶を消してくれたんだな? 有難う。でも、いくら記憶を消されても、魂が忘れないから。俺は、王家の代々伝わる不思議な力を受け継いでいて、魂の声が聞ける。だから、いつも分からないけど魂が何かを俺に言っているのを感じていたんだ。そんな俺を、パティーナは見守っていてくれたんだと思う」
また、シルビアの頬に涙が伝った・・・。
その涙を、マロンディスはそっと指で拭った。
「この涙も半分は、俺がもらう。・・・だからこれからは、ずっと一緒にいよう」
「でも、グリーンピアトはどうするんですか? 皇子様は、次の王位継承者ではありませんか? 」
「俺は王位は継がないよ」
「でも・・・」
大丈夫だよ。
と、マロンディスはそっとシルビアの頭を撫でた。
「俺は、本来なら正当な王位継承者じゃないから」
「え? 」
「俺の実の父親は、亡くなっている祖父なんだ」
え・・・どうゆう事?
驚いた目をして、ポカンとなっているシルビアを見て、マロンディスはクスっと笑った。
「引いている? 」
「いえ・・・。とても、そんな複雑そうには、見えないので・・・」
「そっか、今の俺はそうは見えないのか。昔はずっと、心を閉ざしてシャッター降ろしていたんだぜ。でも、自分がどうしたいかを大切にすればいいんだって、教えてもらったんだ。だから、俺は祖父じゃなくて。本当は兄貴になる人を、父親として選んだんだ」
兄になる人が・・・父親に・・・。
なんとなく見えてきた家系図に、シルビアは納得した。
「ずっと、父さんは俺に王位を継いでくれって言っていたけど。俺はまだその時14歳だったから、姉貴が先に結婚して今の国王様と一緒に、俺が結婚するまで国を守ってくれるって事になっているんだけど。姉貴の子供も、もう15歳になるし。あと20年くらいは、姉貴達も頑張れるって俺は思っているからさっ」