グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
シルビアがクローゼットを閉めと、マロンディスが歩み寄ってきた。
「ねぇ、シルビア」
声をかけられ、シルビアは振り向いた。
立ち上がったマロンディスを間近で見るのは初めてで、シルビアはかなり長身のマロンディスに少し驚いた目をした。
「ん? どうかしたのか? 」
「あ、いいえ。とっても背の高い人で、少しびっくりしただけです」
ちょっと照れ臭そうに、シルビアは視線を落とした。
そんなシルビアが可愛くて、マロンディスは思わずギュッと抱きしめてしまった。
突然、抱きしめられ、シルビアは驚いた顔をした。
「すげぇ抱き心地いい。・・・俺の事、助けてくれてありがとう」
優しく頭を撫でられると、シルビアの鼓動はうるさいくらいドキドキと高鳴って行った。
しかし、ハッとしてシルビアはマロンディスを突き放した。
突き放されて、マロンディスは少し驚いた顔をした。
「ご、ごめんなさい・・・。ゆっくり休んで下さい・・・」
慌てて、シルビアは客間を出て行った。
こんなことが、度々あった。
何気に話しかけてくるマロンディス。
だが、手を握ったり、いきなり抱きしめてきたり、頭を撫でてくれたり。
スキンシップが好きなのか、シルビアにはドキドキさせっれる事ばかりだった。
それからまら幾日が過ぎた頃。
すっかり元気になったマロンディスを、地上へ返さなくてはならないと、ミネバがシルビアに話をした。
「シルビア、判っていますね。地上の人に、地底の存在を知られる事は危険です。彼の記憶から地底の事は全て消しなさい。後は、病院に任せればいいのですから」
「はい・・・」
返事をするシルビアだが、どこか辛そうな目をしていた。