グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
しばらくして・・・。
シルビアは、マロンディスの腕の中で目を覚ました。
ふと見ると、とても幸せそうな顔をして眠っているマロンディスの寝顔が目に入った。
その寝顔を見ると、胸がキュンとなり、シルビアはとても幸せを感じた。
そっと、マロンディスの頬に触れるシルビア・・・。
「・・・ん・・・」
うつらうつらと、マロンディスが目を覚ました。
恥ずかしくなり、シルビアはマロンディスから離れ背を向けた。
目が覚め、ぼんやりしたマロンディスの視界に、シルビアの背中が写った。
「どうして離れちゃうの? 」
優しいマロンディスの声を背中に感じ、シルビアは嬉しくなった。
ふわりと、暖かい毛布に包まれて、シルビアは驚いた。
毛布と一緒に、マロンディスのがっしりとした腕がシルビアを包んでくれる。
「・・・ごめんね、痛かった? 」
いいえ・・・と言いたかったシルビアだが、声にならず首を振った。
「シルビア・・・。愛しているよ・・・」
なんて優しい声なんだろう・・・。
思わず涙ぐんでしまうシルビア。
しかし、その顔を見られたくなく、シルビアは背を向けたままギュッと唇を噛んだ。
「ねぇ。俺の記憶、消そうとしてたでしょう? 」
どうして気づいたの?
恐る恐る、シルビアはマロンディスを見た。
目と目が合うと、マロンディスはシルビアにそっと微笑んだ。
「俺、ここにずっといちゃだめかな? 」
「え? 」
「俺がずっとここにいれば、記憶を消すことなんてしなくていいだろう? 」
ギュッとシルビアを抱きしめて、マロンディスはとても幸せそうな顔をしている。
確かにマロンディスが地底にいてくれるなら、記憶を消すこともない。
だが・・・
マロンディスからは、とても暖かい愛のエネルギーを強く感じる。
ずっと大切に育ててくれた両親、そして親族のエネルギーを強く感じた。