グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
このままマロンディスが地底に残ってしまっては、大切に育ててくれたご両親や、親族の人達が悲しんでしまう・・・。
そんなことはできない・・・。
シルビアはそう思った。
「シルビア・・・。とっても優しいんだね。シルビアの優しいエネルギーが、伝わってきて嬉しいよ。俺の事、助けてくれて本当に有難う」
抱きしめて、頭を撫でてくれるマロンディス。
シルビアは嬉しくて泣き出してしまった。
こんなに想われているなんて・・・
離れたくない・・・ずっと、一緒にいたい・・・
でも・・・でも・・・
マロンディスの腕の中で、シルビアは葛藤していた。
何も思いも告げられず、一線を越えてしまったマロンディスとシルビアだったが・・・。
翌日。
シルビアはミネバの言いつけ通り、マロンディスの記憶を消した。
やはり、心配している両親の事を考えると地底に引き止める事はできなかったのだ。
南グリーンピアトの総合病院に運び、怪我をして運ばれてきたと言う事に全てを書き換えた。
目が覚めたマロンディスは病院にいた。
何があったのか、地底でのことは一切記憶から消えており、ただ、転落した事だけを覚えていた。
空白だけが残り、何もわからないままだった。
ただ体の奥の方で、とっても暖かないエネルギーを感じているだけだった。
病院に突然現れたディアンナに「貴方の婚約者です」と言われ「お腹の中に赤ちゃんがいるのよ」と言われたマロンディス。
さっぱり分からないまま、ディアンナからは「転落して記憶がない部分があるの」と言われ、それを信じるしかできなかった。
そのまま6年過ごしてきたマロンディス。
毎日のように頭が痛く、辛い日々を過ごしていた。
パティーナとも向き合うことが出来ないくらだったマロンディス。
だが。
6年の時を超えて。
今こうして、また、愛する人と再び会うことができた。
奇跡ではなく、これは必然だったのだろう・・・