グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
第5章 地底から来た皇子ジックニー
その頃、別荘にマロンディスたちが来ると連絡が入り迎え入れる準備がされていた。
別荘には、今はマロンディスの父であるランフルクが住んでいる。
マロンディスの母アドーヌは3年前に他界している。
魔力を使っていた事から、胸を悪くして、発作を起こして倒れてしまい、暫く臥せったまま亡くなってしまった。
マロンディスの状態が普通ではない事を、ずっと案じていたアドーヌは最後に
「自分には嘘をつかないで」
と、マロンディスに言い残して亡くなった。
魔女の館と呼ばれていた別荘は、今では明るい白い壁に塗り替えられ、庭には鮮やかな花が植えられている。
ティミスから連絡を受けて、ランフルクはマロンディスたちが来るのを待っていた。
ラフなブルーのシャツに、黒いズボンにスニーカーの姿でとても若々しく、もう60代を過ぎているランフルクだがマロンディスと年の近い兄弟にも見えるくらいである。
少し顔にはほうれい線が出ているようにも見え、笑うと目じりにしわが出るが相変わらずの爽やかさである。
年齢を重ねて、ラディスに似てきたランフルク。
「よし、これでかたずいたな。後は来るのを待つばかり」
庭に出て大きく伸びをするランフルク。
すると・・・
キラリと空が光った。
「ん? 」
なんだ? とランフルクが見上げると。
パッと空から、羽の生えた恐竜に乗った小さな少年が現れた。
「え? あれは。恐竜? 」
ランフルクがきょんとしていると。
恐竜は庭に降り立った。
恐竜に乗っていた小さな少年が降りてきた。
清楚なブルー系の袖のないシャツに、ゆったりとした裾がきゅっと閉まっている茶色いズボンに黒い皮のショートブーツ。
まるで異世界の人のような服装である。
「あれ? ここ、グリーンピアト城じゃないや」
少年は驚いて、周りを見渡している。
「やぁ、どうしたんだい? お城に行きたかったの? 」
ランフルクが歩み寄ってきて、声をかけると、少年が振り向いた。
「え? 」
振り向いた少年を見ると、ランフルクは驚いた。
振り向いた少年は、マロンディスにそっくり!
まるでマロンディスの幼少期を見ているように、生き写しである。
ただ違うのは、瞳が赤い色だけ。