グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「とりあえず・・・ケーキ食べよう」

 
 ランフルクはジックニーの手を引いて、ソファーに戻ってきた。


 テーブルの上には、美味しそうなイチゴのショートケーキがあった。

「え? これがケーキなんですか? 」

「そうだよ、初めて見た? 」

「はい」

「じゃあ食べてみて、とっても美味しいからさっ」


 ジックニーはケーキを手に取った。

 初めて見るケーキに見とれているのと、どこから食べればいいのか迷ってしまったジックニー。

 そんなジックニーを見て、ランフルクはとっても可愛く思えた。

「ちょっと貸してみて」

 ランフルクはジックニーの手からケーキをとり、お皿に置くと、フォークで切ってジックニーの口に持って行った。

「はい、どうぞ」

「え? 」

「ケーキはこうやって食べるんだよ。もちろん、手掴みで食べても構わないけどね。こうして食べたほうが、ゆっくり食べることができるだろう? 」

「は、はい・・・」

 戸惑いながら口を開けるジックニー。

 口の中にケーキが入ると、とっても美味しい甘い味が広がった。

「美味しい・・・こんな美味しいの、初めて食べました」

「じゃあ、沢山食べていいよ」

 ジックニーは嬉しそうにフォークを手に取った。

 ランフルクがやったように、食べるサイズにケーキを切って口に運ぶと、ジックニーはまた嬉しそうな顔になった。

「これは、どうやって作るのですか? 」

「うーん。難しいなぁ、一言では言い切れないからね」

「じゃあ、作り方教えてもらえませんか? おばあ様にも食べさせてあげたいんです」

「おばあ様? 」

「はい、僕のおばあ様。・・・こんなの食べた事、ないので」

「そっか、じゃあ後でコック長に教えてもらおう」

「はい」

 嬉しい笑みを浮かべて返事をするジックニー。

 その笑顔はマロンディスにそっくりである。
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