グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「ところで、ジックニーはどうして今日はここに来たんだい? 」
「はい、妹と約束していたんです。今日、グリーンピアト城で会おうって」
「妹? もしかして、パティーナの事かい? 」
「はい。・・・でも、僕場所を間違えてしまって・・・」
「間違えて正解だったよ。お城に行っても、パティーナはいないから」
「え? 」
「今日ここに来る約束をしていたから」
「じゃあ・・・ここにいれば、パティーナに会えるんですか? 」
「そうゆう事だね」
ホッとした表情浮かべるジックニー。
「でも、ジックニーは、とってもしっかりしているね。今、何歳? 」
「はい、6歳になりました」
「え? そんなに小さいのに、随分しっかりしているんだね」
「おばあ様が、しっかり育ててくれました。それに、母も」
母も・・・。
そう答えるジックニーの目が、少し曇った。
「ジックニーは、お母さんの事をずっと守ってくれていたんだね」
「あ・・・はい・・・。ずっと、悲しそうな目をしていたんです。だから・・・」
「パティーナも、ずっとお父さんの事を守ってくれていたよ」
「はい。パティーナと約束していました。離れ離れになるけど、お父さんとお母さんを守ろうって」
ん? と、驚いた目をしてランフルクがジックニーを見ると。
ジックニーはスッと視線を落とした。
「ごめんなさい、変なこと言ってしまって」
「全然変なことじゃないよ。ジックニーは、産まれる前の記憶があるんだね」
「はい・・・。僕もパティーナも、お父さんとお母さんの事、ちゃんと選んで産まれてきました。離れ離れになる事も、判っていたので。6年たった今日、お城で会おうって約束したんです」