グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「そうだったんだ。じゃあ、ここに来たのはもしかしたら。パティーナが、お城にはいかないでって、エネルギーを送っていたんだね」

「そうかもしれないです。・・・なんでか分からないです。気づいたら、ここにたどり着いていたので」


 ランフルクはジックニーの隣に座った。

「どちらにしても、僕も今日、ジックニーに会えること分かっていたよ」

「え? 」

「何度か夢に見ていたんだ。今日と同じシチュエーションがね。だから嬉しかったよ」

 そっと、ジックニーを抱き寄せてランフルクは優しく頭を撫でた。

「ジックニー。有難う、マロンディスをお父さんに選んでくれて。もう、これからはお父さんに、思う存分甘えていいんだよ」

 
 甘えていいんだよ。

 その言葉が、ジックニーの胸にじーんと響いてきた。

 ずっと、お母さんを守らなくちゃと思っていたジックニー。

 だから早く大人にならなくちゃならないと、思っていた。

 でも・・・

 
 ランフルクの腕の中は、とても心地よくて安心させられる。

 これがお父さんの温もりなんだろうか?


 優しいランフルクの鼓動を聞きながら、ジックニーはとても穏やかな気持ちになれた。


 ランフルクもジックニーを抱きしめていると、とても安心させられる。


 
 しばらくジックニーを抱きしめていると、ランフルクは腕に重みを感じた。

「ん? 」

 ふと見るとジックニーは眠っていた。

「疲れちゃったのかな。随分遠くから来てくれたもんね」

 ひょいと、ジックニーを抱きかかえると、ランフルクは2階に上がって行った。
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